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第二部 15

 すぐ隣まで歩いてきた陸は、沙希の腰に手を回すと優祐を睨みつける。対する優祐は意外にも笑顔で陸に話しかけた。

「やぁ、陸くん。元気そうじゃないか」

 親しげに声を掛けられた陸は怪訝な顔つきで優祐を見返した。

「誰?」

「なんだよ、恩人を忘れるとはお前相変わらずいい度胸してるな」

「恩人!?」

 陸は首を傾げる。まだ優祐のことがわからないようだ。沙希は優祐が陸を知っていたことに目を見張る。

 タバコを吸い終えた優祐は腕組みをした。

「ほら、俺が親切に忠告してやったから、お前にもこんなかわいい彼女ができたわけだ。しかし陸に沙希ちゃんはもったいないな」

「あー!」

 突然陸が声を上げた。思い出したらしい。優祐は薄く笑みを浮かべる。

「ヤブ研修医!」

「今はもう研修医じゃねぇって」

「じゃあヤブ医者か」

「お前相変わらず生意気だな」

 優祐は呆れたような口ぶりだが、嬉しそうに笑う。驚いて二人を見比べている沙希に、陸が大きくため息を吐いてから説明した。

「中山総合病院って会社の近くにあるじゃん。そこの医者らしいよ」

「まぁ、そういうこと。昔、小太りの陸を減量させたのが俺」

 フンと忌々しげに陸は返事をする。

 沙希は会社からも見える総ガラス張りの大きな病院の建物を思い出していた。中山という名前からすると、優祐は病院の後継者だろうか。このパーティーに出席しているのだから、たぶんそうだと沙希は思う。

「それにしてもお前、親父さんに似てきたな」

「全然嬉しくないね」

「そうか? イケメンに産んでもらって親に感謝、減量に成功して俺に感謝、だろ?」

 優祐の言い方が可笑しくて声を立てずに笑うと、隣から脇腹を小突かれた。

「笑うな」

「いや、仲がいいなと思って」

「このヤブ医者と? 冗談じゃねぇ。知ってて沙希をナンパするような男だぞ?」

「お前が沙希ちゃんを一人にするからだよ。それに俺はまだ何もしてない」

 肩をすくめて優祐は言った。陸が自分の身を乗り出すようにして、沙希を後ろに隠す。

「沙希に何かしたらタダじゃおかねぇからな」

「確約はできないな。沙希ちゃんが俺のこと好きになるかもしれないし」

「……んなことあるわけねぇだろ」

「わかんないよね、沙希ちゃん」

 突然話を振られて困った沙希は愛想笑いを浮かべる。

 陸と優祐が並ぶと優祐のほうが少し背は低いのだが、陸よりもより男性らしい体格のためか決して見劣りしない。医者でこの容姿ならば女性に相当モテるだろうと思った。

「ほら、沙希ちゃんはもう俺のこと少し好きになりかけてる」

 愛想笑いを都合よく好意の証と受け取った優祐は、陸を挑発するように言う。

「どこが?」

 そう言って陸は沙希をチラッと振り返った。慌てて首を横に振る。中性的で端麗な顔が視界に入った瞬間、やはりこの人のことが誰よりも何よりも好きだと思う。もう、彼のことしか見えなくなるほどに……。

「つーか、こんなところで話してたら食いっぱぐれるぞ。戻ろう」

 陸の顔に見とれていると、その口から現実的な提案がなされた。ここにずっといるわけにもいかないので小さく頷いて同意する。

「そうだな」

 返事をする優祐を陸は鋭く一睨みし、沙希の手を強く握って、大股でパーティー会場へ戻る。睨まれたことなど全く気にしない様子で優祐も後からついて来た。

「ついて来んな」

「俺を仲間外れにするなよ」

 陸はフンと鼻を鳴らすと優祐を無視するようにして会場の中へ入っていった。ぐいぐいと手を引っ張られて沙希も小走りで陸の後をついていく。少しして振り返ると、優祐は途中で婦人のグループにつかまり笑顔で話し込んでいた。

「アイツは実際いい男だけどさ、一人の女で満足しないタイプだな」

 沙希の視線を読んだのか、陸はそう分析した。優祐にそれほど興味はないので適当に相槌を打ちながら、陸が彼を好意的に評価していることにホッとした。潤也との再会の場面とは大違いだと思う。

 そんなにお腹が空いていたのか、と同情してしまうくらい皿にこんもりと料理を取り分ける陸を、苦笑しながら眺める。どう見ても肉料理の比率が高い。

「肉、肉してるね」

「俺、肉食系だから」

 沙希は思わず吹き出した。確かに草食系とは言い難い。

「何か取る? これ美味いよ」

 言いながら陸はテリーヌをトングでつまみ上げると沙希の皿の上にのせ、もう一つ自分の皿の上にもちゃっかりと取り分けた。

「お前、聞いてなかったんだ?」

 トングを元の場所に慎重に戻すと、陸は沙希の顔を窺うように見た。すぐにそれが幼稚園の次期理事長のことを指していると気がついたが、返答に詰まり一瞬間が開いた。

「幼稚園には連れて行ってもらったんだけど、そういう話は全然……」

 言葉を選びながらそう言うと、陸も少し顔をしかめる。

「たぶん、ばあちゃんはお前に話すのはもっと後にしようと思ってたんだろうな。タイミング悪くあんなこと言われて、否定もできなかったんだろうけど、びっくりさせてごめん」

 神妙な面持ちで陸が目を伏せた。

「いや、謝らなくていいの。突然すぎてびっくりしたけど、なんかいろいろ『ああ、そうか』と思って納得した」

 沙希は慌てて手を大きく振った。佐和に一瞬でも不信感を抱いたことが罪悪感となり、胸をチクリと刺す。

「ばあちゃんがそう希望しているのは知っていたけど、俺もまだはっきり言われたわけじゃないし、入籍もまだなのにいきなりそんな話してもお前が困るだろうなと思ってたんだ」



(入籍もまだ……)



「どうした?」

 何かを察したのか陸が鋭い視線を向けてきた。心の内を見透かされそうで怖いが、こればかりは覚られるわけにはいかない。慌てて余計な物思いを隅に追いやった。

「陸のお母さんは佐和さんの跡を継がないの?」

「母さんは無理だろ。仕事もしてるし、あんな遠くに住んでて理事長なんかできるわけない。叔母さんも同じだな」

 愚問だと言わんばかりの返答を、沙希は複雑な想いで聞いた。

「そうなんだ……」

「沙希が嫌なら嫌って言ってもいいんだ。ばあちゃんには俺が話するから」

 気遣うような声音だった。こういうときの陸はいつも敏感だ。沙希の言い方に不満の色を見て取ったのだろう。沙希は自分の失態を悔いた。

 それでも自分を慮ってくれる陸の気持ちが嬉しかった。心が真綿に包まれて大切に扱われているような心地だ。その気持ちにできる限り応えたいとは思う。

 だが、これは沙希の手に余る話だ。安請け合いはできない。

「嫌ってわけじゃないんだけど……突然すぎて返事ができない」

「そうだよな。沙希は不意打ちに弱いからな」

 陸はクスッと笑い、傍らのグラスを手に取った。それから急に身を屈めて沙希の耳に顔を寄せる。

「ねぇ、今夜はここに泊まっていかね?」

「え?」

 突然の誘いに沙希の胸はドキドキと高鳴った。更に陸は囁く。

「部屋を取ってあるんだ」

「えー?」

「だって俺、今日帰国したばかりだし、さっきまで仕事してたし、疲れてるし……」

 甘えるような声が沙希の乾いた心にじわじわと滲み込んできて、幾重にも固く結ばれた感情の糸を溶かしていく。

 陸の声は媚薬のようだ。あれこれ考えていたことはもうどうでもよくなり、何もかも全部忘れて陸の腕の中に飛び込んでしまいたくなった。

「そうだね。疲れてるよね」

「うん。それに飢えてる」

「えー、お肉とかいっぱい食べたでしょ?」

 陸は目を細める。

「違う。満腹だけど、愛に飢えてる……」

 こんなところで何を言い出すのだ、と沙希は恥ずかしさで頬が染まるのを感じた。堪えきれず顔を背ける。

「変なこと言わないで」

 陸は満足げにクスッと笑い、背筋を伸ばしてグラスに口をつけた。

「早く終わんねぇかな」

 その言葉で沙希はステージのほうへ視線を向けた。実は沙希が婦人たちに囲まれている間にも場内ではチャリティオークションが開催されていて、今は壇上の司会者がこれから始めるゲームの説明を丁寧に行っている最中だ。

 パーティーの幹事が白紙のメモ用紙を出席者に配って歩いている。

 途中から聞いた説明によれば、1から100までの整数で一番小さな数を当てるというゲームらしい。但し、同じ数字を書いた人が他にもいる場合は無効になる。誰ともかぶらない最小の数字を推測できたら優勝ということだ。

 10位以内の入賞者には特別に賞品が出るということで、司会の説明が終わると場内は騒然となった。

「沙希はもう書いた?」

「うん」

「何にした?」

「秘密」

「この会場って何人くらいいる?」

「うーん、かなり多いね。200人くらい?」

 きょろきょろと辺りを見回してみる。立食式なので人数の把握が難しい。もしかするともっと多いかもしれない。

「だよな。でも案外これ1って書くヤツいないんじゃね?」

 そう言いながら陸はメモ用紙に線を一本だけ書いた。それから名前を書いて、集めに来た幹事へ提出する。沙希も折り畳んだメモ用紙を幹事に渡した。

「陸と同じように思って1って書いた人いっぱいいるかも」

「おい、それを早く言えよ! ……で、お前はなんて書いた?」

「うん、……7」

「うわー、7は無理だろ。絶対競争率高いぞ」

 自分のことは棚に上げて、やっちゃったな、という顔をする陸に、沙希はフンとふくれ面をした。

「これは他人とかぶらないほうが奇跡だな」

「そうだね。一桁台は無謀だったかもね」

 ステージ上にホワイトボードが登場した。ボード上には50までの数字が記入されていて、その裏面に51から100までが記されているようだ。

「やあ、そこの若いお二人さん。キミたちは何の数字にした?」

 程よく酔いが回った様子の優祐が笑顔で近づいてきた。

「アンタは?」

「俺は皆の裏をかいて1」

「終わった……」

 陸は絶望的な声を出した。すぐさま優祐も顔を歪める。

「もしかしてお前も1?」

「よりによってアンタと同じとは……」

 二人のやり取りを聞いて、沙希は可笑しくて笑い出してしまった。

「やっぱり仲がいいね」

「そんなわけない」

 陸が目を瞑って絶望的な表情をすると、優祐は陸の腕を小突く。

「いや、あながち否定できないぞ」

「なんでだよ?」

「好きな女性のタイプも同じだし、俺とお前は案外似ているところがあるのかもな」

 沙希が眉をひそめるのと同時に、陸は不愉快な感情を剥き出しにして反論する。

「はぁ? 勝手に似てるとか言うな。迷惑だっつーの。それに沙希を好きになっても無駄だからな」

「俺が誰を好きになろうと俺の勝手だろうが。それに沙希ちゃんはお前の所有物じゃないだろ」

 図らずも真面目な顔で優祐が言った。

「……ケンカ売ってんの?」

 隣から低い声がした。沙希は慌てて陸の腕を掴む。こんなところでケンカなどされてはたまらない。

「陸、ダメだって……」

 そこにステージ上から司会者の晴れやかな声が聞こえてきた。



「優勝は7と書いた、川島沙希さんです! おめでとうございます」



 場内に自分の名前が響き渡り、陸のスーツの生地を握り締めたまま沙希は思わず声を上げた。

「ええーっ!?」

「マジかよ……」

 陸は驚きを通り越したようで、ただ茫然と沙希を見つめる。

 幹事が沙希を迎えに来たので、恐縮しながらステージに上がり、優勝賞品をもらった。すぐにステージを降りようとしたが、司会者に呼び止められ、仕方なく正面を向いて立つ。人々の視線を一身に受けると緊張感が突風のように全身を駆け抜けた。

「ご存知の方も多いと思いますが、川島さんはK社の広告にてエッセイを発表され、現在大変注目を集めておられる多才な方です」

(……うわぁ、やめて!)

 沙希は苦笑しながら背中に冷や汗が噴き出るのを気持ち悪く思っていた。汗は滴になって腋の下や背中を伝う。せっかくのドレスが汗で汚れてしまうのが不快だった。

 司会者の言葉が終わったので、恭しく礼をしてステージを降りた。陸の元へ戻るまで人々の視線が自分の身体に貼り付いているようで、動きがぎこちなくなる。人形のような動作で元のテーブルまで戻ると、社長と佐和が陸の傍らにいた。

「おめでとう」

 社長が真っ先に声をかけてきた。沙希はもらった賞品を両方のてのひらで貴重品を扱うようにそっと持った。

「すみません、私、部外者なのに……」

「気にすることはない。ここにいる誰もがキミを部外者だとは思っていないよ」

 社長の言葉はすんなりと沙希の身に沁み込んで、心の奥にポッと小さな明かりを灯す。そのまま陸の顔を見上げると、陸は悪戯っ子のような目をして沙希の手から賞品を取り上げた。

「何だろう? ずいぶん小さくて軽いけど」

「開けてもかまわんが」

 包装された小箱を耳元で振り、音を確かめる陸を、社長は目を細めて見つめる。

「今はやめとく。後のお楽しみってことで、な? 沙希」

「うん」

 頷きながら、どことなく社長と陸の距離がいつもよりも近いような気がして、沙希は二人の姿から目が離せなくなっていた。徐々に胸が熱くなり、泣きたいような気分になる。

 何気なく視線を動かすと、社長の向こう側にいる優祐と目が合った。

 優祐は佐和の背丈に合わせて屈み込み、他人に聞こえないよう小声で会話をしている。彼は沙希と視線を合わせたまま、真剣な顔で佐和に何かを話していた。決まり悪くなった沙希はわざとらしく首を動かして隣の陸を見上げる。

 陸も話し込んでいる佐和と優祐の姿をチラリと見た。

「ジイさんが倒れたって」

 二人から視線を引き剥すようにして宙を見据えると、沙希にだけ聞こえる声で言った。

「え、会長が? いつ?」

 驚いて腕に縋るが、陸はため息をついただけで何の感情も表さない。

「二週間くらい前。大丈夫。命に別条はないらしい。今は入院中」

 胸を撫で下ろす沙希を、隣で冷めた目の陸が観察していた。

 確かめるように社長の向こう側にいる佐和の様子を見てみると、しゃんと背筋を伸ばして普段よりも一層冷静沈着な表情をしている。

「今日は海外に行ってることになってる。誰にも言うなよ」

 沙希は慌てて首を縦に振った。パーティーに会長の姿がないのを少し疑問に思っていたが、そんな事情だとは思いも寄らなかった。

 しかし考えてみれば、沙希は大変なときに佐和に甘えていたことになる。

「私……何も考えずに、ものすごく迷惑なことしちゃったんだね」

「んなことねぇよ。ばあちゃんとジイさんはほぼ別居だし、入院も完全看護で家族は何もすることがない」

「そんなこと言っても……」

「気にすんなって。ジイさんのことは心配するだけ無駄」

 面倒くさそうに嘆息を漏らした陸は、沙希の頭にポンと手をのせた。

「ばあちゃんに初めて会ったときのこと、覚えてる?」

「うん」

「あれで沙希のことをすっかり気に入ったらしいよ。一目で『いい子だ』って思ったんだって」

 沙希は苦笑しつつも、嬉しく思った。

「だから、ずっと沙希に会いたがってた。それにジイさんのことは俺もさっき知ったばかりだし」

「え?」

 驚きのあまり大きな声を出していた。社長が穏やかな表情でこちらを見る。咄嗟に愛想笑いを浮かべた。

 陸がフランスにいるから知らせなかったのだろうか。

 佐和や社長が日本を離れている陸に配慮してわざと知らせなかったという可能性は大きい。

 だが、沙希の周りでいろいろなことが目まぐるしく起こり始めたのも、つい最近だ。潤也がわざわざパリにまでやって来たのが始まりだった気がする。これは偶然の符合だろうか。



「本当は何のためにパリまでやって来たんですか?」

「何のため? キミと話をしたいと思ったからさ。キミに興味があるんだ。陸を変えたのがキミだから」



(違う! ……きっと違ったんだ!)



 パリにやって来た潤也は饒舌に亀貝家や自分の身の上話を披露し、沙希が陸にふさわしくないと豪語したのだった。

 それからの潤也の言葉を瞬時に思い返す。途中で、あっ、と何かが心に引っかかった。

(課長は会長が倒れたことは勿論、会長が何を考えているかということまで知っていた……?)

 そして空港で佐和を見た際の慌てぶり、去っていく後ろ姿――。



「アイツとどうしても結婚したい?」

「今にキミにもわかる。俺がキミに言いたかったことが、ね」



 実際、潤也は沙希に何かを伝えに来たのだろう。かなり遠まわしに、だがよく考えてみれば非常にわかりやすいメッセージを――。



(私は……会長に歓迎されていない……)



 そこに思い至って、急に沙希の頭の中はクリアになった。勿論ショックは大きい。だが、同時に今まで見えなかったものが見えてきた気がする。

 陸がこのタイミングで佐和と自分を引き合わせたことにも、佐和が沙希をあちこち連れまわしたことにも理由があったのだ。

 改めて陸の顔を見つめた。今も無表情なままで何を考えているのかわからない。不意に巨大な不安の波が沙希の心の中に押し寄せてくる。

「私……ここにいていいのかな?」

「ばーか」

 陸はニヤッと笑うと沙希のむき出しの肩に手を滑らせる。小さく抗議の声を上げると、素早く沙希の耳元に顔を寄せて言った。

「誰も見てないって」

 その言葉に沙希は微笑んだ。不安の波はあっという間に凪いで、温かなそよ風が吹き始める。



 ――大丈夫。今なら、俺、ちゃんとお前の気持ち受け止められるから。



 おそらく陸は何もかも覚悟の上で沙希を選んでくれたのだ。その気持ちを信じようと思う。



(私にできるのは……ただ陸を愛すること。いつでもどんなときも、そばにいてもいなくても……)



 ステージ上ではこの異業種交流会の現会長が閉会前の挨拶をしていた。さすがに私語は少なく、出席者のほとんどはステージに視線を向けている。

 こんな不謹慎な出席者は他にはいないだろうと思いながらも、沙希はされるがまま陸の手のひらの感触を密かに楽しんでいた。ゆっくりと肌を撫でるリズムが、次第に満ちてくる潮流のように徐々に沙希の中の官能を呼び覚ます。

 その甘美な誘いをぎりぎりのところでかわしながら、司会者が閉会を宣言するのをぼうっとした頭で聞く。

 とろけてしまいそうな沙希の肩を陸が強く抱いた。

 

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